
目次
- 1 医師がピルを奨めるワケ【Life Design Drug】
- 1.0.1 断言します。それは時代遅れです。
- 1.0.2 ライフデザインドラッグとしてのピル
- 1.0.3 ●ピルの避妊以外のメリット
- 1.0.4 ●澤選手から学ぶピルのメリット
- 1.0.5 海外のアスリートの多くはピルを内服しています。
- 1.0.6 ●時代背景から考えるピルの利点
- 1.0.7 月経痛が強く悩んでいる方には積極的にピルの内服を検討して頂きたいです。
- 1.0.8 ●日本=ピル後進国です
- 1.0.9 日本→約1%
- 1.0.10 ヨーロッパ→30〜60%
- 1.0.11 「何となく恥ずかしい」というイメージ
- 1.0.12 妊娠するということは何ら病気でもありません。
- 1.0.13 避妊についての知識は医療者がプロであればよいのではなくて、教養として全ての人が知っているべきであるということです。
- 1.0.14 ●ピルの注意すべき副作用とは?
- 1.0.15 関連
医師がピルを奨めるワケ【Life Design Drug】
こんにちは、医師のまんでりんです。
「ピルってゴムつけたくない人が飲むもんでしょ?」
まだそう思っている人は多くいるんじゃないでしょうか?
断言します。それは時代遅れです。
確かにピルは避妊目的に自費診療で処方されることがあります。
しかし、それだけではありません。
ライフデザインドラッグとしてのピル
が現在注目されております。
●ピルの避妊以外のメリット
・月経痛が軽減される
・生理のタイミングをコントロールできて、
旅行や大事な大会などのタイミングを避けられる
・月経前のイライラなどの症状にも効果がある
・子宮体癌/卵巣癌/子宮内膜症のリスクが軽減する
・ニキビが出来にくくなる
・女性らしいボディラインになりやすい
上記のようなメリットがあることをご存知ですか?
(デメリットもあとで言及します。)
(こんな感じで医療の視点から日常に役立つ情報を発信しておりますので、よければフォローといいねをよろしくお願いします。)

●澤選手から学ぶピルのメリット
女子サッカー日本代表であった澤穂希選手がピルを内服していたことをご存知でしょうか?
海外のアスリートの多くはピルを内服しています。
最近は日本のアスリートもピルを内服することは珍しくなくなってきていますね。
しかし、澤選手が渡米した時代の日本ではピルを内服するアスリートはほとんどいない状況でした。
指導者(多くは男性)の理解がないことも大きく影響しており、ひと昔前までは、ハードワークして無月経になるくらいが丁度良いと考えている指導者も珍しくありませんでした(もちろん疲労による無月経は医学的に異常時事態です)。
アスリートがピルを内服するメリットは想像に難くないと思いますが、大事な試合に生理が被ることを避けられるというメリットが考えられます。
また、遠征も多く旅先や飛行機内で突然の生理に襲われるということもなくなります。
そして、ピルはコンドームの2倍の避妊率がありますから、望まない妊娠を避けられるというメリットももちろんあります。
澤選手は渡米した際に、自身もピルを内服することを決意して、その影響で日本人アスリートのピルの内服率も上がってきたと言われております。
その後、澤選手が引退してしばらくして、おめでたニュースが全国に流れたのは記憶に新しいですね。
(ピルの内服を止めれば、問題なく妊娠することが可能です。)

●時代背景から考えるピルの利点
昔の日本は5人兄弟や10人兄弟も珍しくありませんでしたね。
大前提として、妊娠中には月経は停止します。
女性が生涯に10人の子供を出産するとなると、1回の妊娠で1年の月経が停止すると考えると、
単純計算で、
10年分 =10 ✖️ 12(1年の生理の回数) = 120回分の月経が減ります。
15歳〜50歳までの35年間月経があるとすると、そのうちの10年間の月経がこないことになります。
これが何を意味するかというと、
月経というのは女性ホルモン(エストロゲン/プロゲステロン)に晒されることですから、女性ホルモンが関係する疾患(卵巣癌・子宮体癌・子宮内膜症など)の罹患率が上昇してくるということになります。
また、日本では晩婚化もあり年々出産年齢が上昇してきていますが、
若年であれば若年であるほど、生理痛がひどい傾向にあります。
つまり、若年で妊娠していれば経験しない月経痛などの症状にされされる女性の数がとても多くなってきているということがあります。
月経痛がひどいというだけで、月経困難症という診断がつく可能性がありますし、その症状は子宮内膜症が原因の可能性もあります。
月経痛が強く悩んでいる方には積極的にピルの内服を検討して頂きたいです。

●日本=ピル後進国です
日本のピルの内服率をご存知でしょうか?
日本→約1%
ヨーロッパ→30〜60%
今まで、ピルのメリットを散々解説してきましたが、日本対世界ではこれだけの差があります。
日本ではピルは医師の処方が必要であるということが、この差に大きく影響しているでしょう。
しかし、それだけではなくて、日本人のピルに対する
「何となく恥ずかしい」というイメージ
これが女性からピルを遠ざけているとも思います。
これは個人的な意見ですが、
医師の仕事は主に「病気を治す」ことです。
それに対して、
妊娠するということは何ら病気でもありません。
何が言いたいかというと、
避妊についての知識は医療者がプロであればよいのではなくて、教養として全ての人が知っているべきであるということです。
学校でピルについて詳しく教育される時代が早く訪れることを祈っております。
●ピルの注意すべき副作用とは?
最後にピルの副作用やデメリットについても触れておきます。
血栓リスクや子宮頸癌のリスクについては有名ですね。
ピル内服者で子宮頸癌のリスクが上昇するのは、
ピルを内服していることによって、性感染症の予防(コンドームの使用)がおそろかになっていることが原因ですから、
ピルが悪いんじゃなくて、
ピル飲んでてもコンドームつけようよ
ってことになります。
血栓症やピル以外の避妊方法や緊急避妊薬(アフターピル)については、動画で解説しておりますので、よければご覧ください。
【医師が簡単解説】え⁉️ピルってスゴくない⁉︎【避妊リング/アフターピル】

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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