麻酔導入中の血行動態の安定性に対する、術前輸液療法の効果についての無作為化試験

Effect of preoperative fluid therapy on hemodynamic stability during anesthesia induction, a randomized study

Tomi Myrberg, Linnea Lindelof, Magnus Hultin.

Acta Anaesthesiologica Scandinavia/Early view 26 June 2019

気になる論文を要約してみました!

●背景

 麻酔導入中の灌流圧を維持することは、非常に重要である。標準化された麻酔法や厳密に管理された輸液療法や血管作動薬は、麻酔の導入を通して適切な血行動態を維持する助けになるかもしれない。除脂肪体重(LBW)に基づく術前のボーラス投与は、目標調節投与法(TCI)もしくは、迅速導入(RSI)後の有意な血圧降下(BPD)の発生率を低下させると仮定して、無作為化試験を行った。

●方法

 心臓手術以外の手術を予定していた80人の患者が、術前の6 ml/kg(LBW)のコロイド液のボーラス投与もしくは、ボーラス投与なしに無作為に振り分けられ、その後、TCIまたはRSIを用いて麻酔された。麻酔導入後20分間に血圧が平均動脈圧(MAP)<65 mmHgとなるかどうかで、結果を評価した。

●結果

 術前の輸液を行ったグループでは、麻酔導入後の有意な血圧低下(BPD)を約1/5に減少させることがわかった。術前輸液を行わなかったグループでは23/40(57.5%)でBPDを認めたのに対し、術前輸液を行ったグループでは5/40(12.5%)でBPDを認めた(P<0.001)。    また、平均BPDも、術前に輸液をしなかったグループの方が有意に高かった(輸液なし:53±18mmHg , 輸液あり:43±14mmHg.P=0.007)。術前にボーラス投与された輸液の平均量は、387±52 mlであった。TCIとRSIの間で、血行動態の安定性に差はなかった。BPDの発生率と、年齢の増加・投薬・高血圧・糖尿病・腎不全・低い身体能力との間に相関は認めなかった。

●結論

 術前の輸液のボーラス投与は、TCIおよびRSIによる麻酔導入後の血圧低下の発生率を有意に低下させた。

●編集コメント

:麻酔導入後の低血圧は一般的だが、それは予防可能だろうか。今回のRCT では、麻酔導入前の輸液ボーラス投与が行われ、これが麻酔導入後の低血圧が起こる可能性を低下させる簡単な方法であることが示された。

コメント

タイトルとURLをコピーしました